「人事評価」と「処遇への反映」の関係性

「人事制度」は「社員の成長」をベースとして設計するべきだ、という話をしました。

そして、社員が成長することによって、「成果を出す」「会社としての目標を達成する」ことが最終的な目的です。

「より良い成果を出した人に対して、より良い処遇で報いる」という、
いわゆる「成果主義」の流れは今後も変わることはないでしょう。

 

 

1.その「評価」、どこに「反映」する?

ただ「成果主義」というと、数字のみで判断されてしまう、チームプレーではなく個人主義に走る、
といったマイナス面ばかりが強調されてしまいますが、

「何をどのように評価して(評価基準)」「どのように処遇へ反映するのか」ということが、
きちんと整理されていないケースが多いようです。

 

まずは「成果評価」「プロセス評価」が明確に区別されているか、を確認する必要があります。

 

「成果評価」とはあくまで「成果を出したかどうか」で見ます。

「売上目標を達成したか、否か」
「○○に関する報告書を期限内に、求められる水準をクリアして作成できたか、否か」

など、明確な目標、達成基準を事前に設定していることが前提で、
それが「できたか、できなかったか」「やったか、やらなかったか」で評価します。

 

「一生懸命、苦労して取り組んだが、残念ながら目標に到達できなかった」
「あまり苦労はしていないけど、ラッキーな要素があり、目標を達成できた」

など、そのときの運・不運の影響を受けますが、

このような環境要因は、成果評価では考慮しないほうがシンプルに運用できると思います。

 

そして、この成果評価は短期間(3ヶ月~半年)を見て、
すばやく処遇へ反映していきます。

一般的には「賞与」で反映していくことが適していると思います。

 

一方「プロセス評価」は社員の行動・発揮能力を1年に1回ぐらいのスパンで評価します。

 

そのためには「会社が求める行動基準」「会社はこのような能力を発揮して欲しい」という基準を明確にして、
上司が日常的に観察する必要があります。

成果評価のように、数字のみで判断できませんので、
評価は1年に1回と言えど、日常的に観察し「記録」しておくことが不可欠です。
たとえ成果評価で売上目標を達成していたとしても、「とにかく結果さえ出せばいい」とか、
「自分さえ良ければいい」とか、「経営理念にそぐわないやり方で顧客に対応する」

ということを避けたい場合や、

「環境的には厳しい状況だったが、粘り強く頑張った」とか、
「残念ながらすぐには成果に結びつかなったが、継続的に取り組むことで近い将来業績向上につながることが予想できる」
といったことを評価したい場合は、

この「プロセス評価」で評価し、処遇へ反映していきます。

 

一般的には「プロセス評価」は賞与には反映せず(もしくは反映の割合を少なめに)、
昇給や降給といった基本給部分へ反映していきます。

 

 

2.「成果評価」と「プロセス評価」の割合も大切

例えば、賞与は「成果評価」で見るべし、と言っても、
新入社員などはプロセス評価も加えたほうが運用しやすい場合があります。

また、昇給などは、「成果評価」と「プロセス評価」の割合を、
一般的には上位等級へ行くほど「成果」の割合を高めるように設定します。

管理職など上位等級の人たちは、「成果」を出すことが重要視され、それが会社の業績に直結しますし、
新入社員など下位等級の人たちは、能力を高めたり、必要な行動を身につけたりする時期ですので、
「プロセス評価」の割合を高めるように設定します。

そうすることで「社員の成長」をベースとした人事制度でありつつも、
「結果を出す」ことが求められ、年功的運用を避けることができるようになります。

 

3.「昇格・昇進」は卒業方式ではなく入学方式

「ひとつ上の等級へランクアップする(昇格)」

「課長から部長へ抜擢する(昇進)」場合は、どのように判断したらいいでしょうか?
いままでの成果目標、等級基準をクリアできていることが必要条件です。

よって、過去の評価を点数化したり、ポイント化して、それを昇格・昇進条件とすることは、
昇格候補者を選定する上では必要になってきます。

ただ、上の等級へ上がる、役職が変わる、ということは、「求められる役割・能力が変わる」ということですので、
「本当に上へ上げても大丈夫かどうか」は過去の評価のみ(卒業方式)では判断できない部分もあると思います。

プレーヤーとしては抜群だったが、マネジメントはできなかった、というケースは多々あります。

よって、過去の評価を参考にしつつも、別の方法・視点から(論文・プレゼン・役員面接・適性試験・・・)
判断できるように(入学方式)、仕組みを作っていくのが良いかと思います。

 

いずれにしても、「いったい何を評価しているのか」を明確にして、
それを「どのタイミングで、どんな処遇に反映していくのか」をきちんと設計していくことが大切です。