「同一労働同一賃金ガイドライン案」

政府の「働き方改革会議」から昨年12月20日に「同一労働同一賃金ガイドライン案」が発表されました。

 

これはあくまで、ガイドラインの前提となる法律がきちんと改正されていない段階での「案」であり、
今の段階では法的な拘束力はありません。

 

ただ、厚生労働省では2月7日に「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」が法改正に向けた議論を開始したようです。
今後、3月上旬を目途に論点を整理し、政府が3月中にまとめる働き方改革の実行計画に反映させる予定のようです。

 

ガイドラインが実効力を持つためには、
労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の一括改正が必要ですので、
「いつ、どうなるか」は、はっきりとはまだ分かりませんが、
来年の4月には労働契約法による「無期転換ルール」の適用者も出てくることから、
今後の労務管理を考える上で、気になる点をピックアップしたいと思います。

 

 

1.ガイドライン案の目的

正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と、
非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の
不合理な待遇差の解消を目指すものとされています。

 

そのためには、
まずは、各企業において、職務や能力等の内容を明確化し、
それに基づく公平な評価の推進、賃金制度の構築など、
職務や能力等と待遇等との関係性をきちんと整備しましょう、
と言っています。

 

そもそも、
うちの会社(部署)には、どのような仕事があるのか、
その仕事を遂行するためにはどのような能力が必要なのか、
どのような職業経験が求められるのか、
またどのように会社業績に貢献して欲しいのか、
「貢献度」をはかる指標は何なのか、
ということがきちんと整備されていない企業も多いのではないでしょうか?

 

本当は、正規社員⇔非正規社員の関係に限ったことではないと思うのですが、
そこをまず整備しないと、法改正とともに人件費がいたずらに増加することにもつながりかねません。

 

 

2.影響が大きそうなところは?

ガイドライン案では、「問題となる例」「問題とならない例」という形で、
(1)基本給
(2)賞与等を含む手当
(3)福利厚生
(4)教育訓練、安全管理、その他
の4つに分けて具体例が挙げられています。

特に影響が大きそうなところとしては、
「賞与の支給」についてが挙げられるのはないでしょうか。

「賞与について、無期雇用フルタイム労働者には職務内容や貢献等にかかわらず全員に支給しているが、有期雇用労働者又はパートタイム労働者には支給していない」というのは、「問題となる例」として示されています。

実際には、「パートには賞与は一切支給しない」という取り扱いをしている企業は多いと思いますが、
今後は見直しを迫られそうです。

特に多くの非正規社員を雇用している企業は影響が大きいと思います。

 

 

一方、「基本給」部分については、政府のほうも、見直しには時間がかかることを認識しているようです。

「キャリアコース」の違いによる待遇差、
転勤や職務内容の変更の範囲の違いによる待遇差などは、
「問題とならない例」として挙げられています。

ただし、無期雇用フルタイム労働者と有期雇用またはパートタイム労働者とは、
「将来の期待役割が異なるので、賃金の決定基準・ルールが異なる」と説明するだけでは、
主観的・抽象的なのでダメ、
もっと職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の具体的・客観的な実態に照らして説明せよ、
と注意書きで記載されています。

 

 

福利厚生も、わりと細かい点ですが企業の実態と異なるところがあると思います。

例えば、「病気休職」や「慶弔休暇」など、
有期雇用労働者やパートタイム労働者には一律に認めていないケースも多いと思いますが、
無期雇用フルタイム労働者にある制度であれば、
有期雇用・パート労働者にも、
勤務日数や契約期間の残存期間を踏まえて付与しなければならない、とされています。

 

法改正の今後の動向が気になるところですが、

まずは、わが社はどのような社員構成で、どのような仕事を行っているか、
を棚卸しされることをおすすめします。

そのことは、法改正がどのようになろうと、決して無駄なことではありません。
企業の生産性を高め、
これからの様々な変化に対応していくための基盤づくりにつながります。

当事務所でもお手伝いしていますので、お気軽にお問い合わせください。