『目標管理』はノルマ管理なんかじゃない

人事制度を活用して、社員の能力やヤル気を高め、業績向上につなげるためには、「目標管理制度」をしっかりと機能させる必要があります。

人事制度が導入されている企業には、たいてい「目標管理制度」も導入されているはずなのですが、残念ながらきちんと運用されているケースは少ないようです。

 

 

1.「目標管理」が嫌われるワケ

「目標管理」という言葉を聞いただけで、息苦しく感じる人も多いのではないでしょうか?

「上からのノルマの押しつけ」
「結果主義。結果が出なければ評価されない。」
「ただでさえ忙しいのに、目標管理なんてやってる暇はない。」

などなど、あまりいいイメージは持たれていないようです。

どちらかというと、そのマイナスイメージは、本来、目標管理を積極的に推進していかなければならない「管理職」のほうが強いようです。

人事部からやれと言われているからシブシブ「目標管理シート」のようなものに部下に目標を書かせるけど、提出されたものをちらっと見て机にしまいこんでいる人も多いのではないでしょうか。
管理職自身が「なんでこんな仕事をやらなきゃならないの・・・。(面倒だなーー・・・。)」と思っていませんか?
そして期末の評価のときにあわてて取り出して、「あれ?こんな目標だったっけ?」と思いつつ、とりあえず数値目標だけは確認して、あとは適当に評価をつけていませんか?

管理職が「目標管理制度」の目的を正しく理解しないまま、カタチだけで運用を進めてしまうと、当然のことながら、部下の能力開発にはつながらず、業績の向上にもつながりません
むしろ、誤った理解が、組織を疲弊させ、悪影響さえ及ぼしてしまいます。
手間ばかりがかかって、その効果が実感できないでいると、誰だって積極的に取り組もうとしないですよね。

 

 

 

2.「目標管理制度」のベースとなる思想とは?

仕事に限らず、私たちが「よしっ!いっちょがんばるか!!」と意欲を出すときって、何らかの到達すべき目標を設定し、その達成に向けて自分を駆り立てていることが多いですよね。

なーんにも目標がないと、なんだか毎日がつまらないし、活き活きとしてこない。
目標って、人の行動を方向づけてくれて、努力の量や質を決定してくれる役割があるのです。
「やるべきこと」が分かっていて、そこに焦点を合わせて必要とされるパワーを発揮できるから、「ヤル気」が湧き起るのです。

 

ところが、「目標管理」と言われると、急に息苦しさを感じてしまうのはなぜでしょうか?

 

目標が自ら設定したものではなく、上からの強制であり、自分がやりたいと思える目標ではなく、うまくやり遂げることができる自信も持てないからではないでしょうか?

「目標管理」という日本語訳がまずいのかもしれません。

目標管理、“Management By Objectives” は、かのドラッカー先生が提唱したもので、1990年代以降に広く定着したものです。

人間は一人ひとりが重要で有能な存在であること。
組織のために人間があるのではなくて、人間が自分の幸せのために働くのであって、仕事は人生の幸せや充実感を味わう手段であること。
目標を手掛かりとして、組織の改善や業績の向上、個人の成長を図っていく。

というような人間中心の考え方がベースとなっており、本来は決してノルマ管理でしめつけるようなものではありません。

 

ただし、目標は上司からの一方的な押しつけであってはいけませんが、仕事である以上、組織の目標(上位目標)を一緒に確認し、部下に期待するところをきちんと伝え、部下個人の目標とすり合わせを行わなければなりません。

ここをどれだけ丁寧にやれるか、が目標管理制度の成否を担っているともいえます。

 

「あなたにはこれだけのことを是非やって欲しい。期待しているんだ。」ということは伝えてもらえるとヤル気にもなるし、部下自身が「自分のやるべきこと」についてきちんと納得・合意できるように、コミュニケーションをとることが重要です。
これを「目標の合意」と言います。

 

また「目標設定」ができたらあとはご自由に、とばかりに放任するのではなく、目標達成のプロセスで、上司は部下に適切なフィードバックをしていく必要があります。部下はフィードバックをもらうことにより、目標達成のために必要な行動を調整したり、計画と方法を変更したり、といった修正ができ、目標達成の確立を高めることができます。
「目標」は達成されてこそ、意味があるのです。
上司による「支援」というのが、目標管理を遂行していく上で重要な役割を担います。

3.「目標管理」って、仕事の進め方の基本なの?

「目標管理」って、結果を管理するだけでなく、プロセスでも進捗管理をしっかりして、改善を加えるべきことは加えていく。
部下の能力に足りないところがあれば、指導したり、支援したり、目標達成へ向けての上司の役割はたくさんあります。
もちろん、期末には成果の確認と評価をしなければなりませんが、上司と部下の重要なコミュニケーションの場であり、モチベーション向上や指導育成の場でもあり、経営の意思を部下に伝えるとともに、管理職が現場の状況や課題を把握するプロセスでもあるのです。

 

いわゆる「PDCAサイクル」を回しながら運営されるべきことであり、いわば仕事の進め方の基本となることでもあるのですが、現実にはこれがなかなかうまくいかないようです。
ベースには暖かい人間関係、良好なコミュニケーションが必要なことも忘れてはなりません。

 

管理職にとっては、さまざまなマネジメント能力が要求される場でもあるのですが、このあたりが十分に理解されていないことやマネジメントスキルの不足も「目標管理制度」がうまく活用できない要因になっているのかな、と思います。

必要とされるマネジメントスキルについては、またの機会に書きたいと思います。