違法な長時間労働!「ドン・キホーテ」が書類送検

大手ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」が労使協定(36協定)で定めた上限を超える長時間労働を従業員にさせた、として、東京労働局に書類送検されたそうです。

そろそろ年度末。「36協定」の締結も年度に合わせて締結していらっしゃる企業も多いのではないでしょうか?
御社も知らぬ間に「違法状態」になっていませんか!?

今回は、「36(サブロク)協定」について基本をおさらいしてみたいと思います。

 

1.『違法な』残業をさせていないですか?

「過酷な長時間労働=ブラック企業」という概念は世間に浸透してきましたね。

ただ、「過酷」かどうかは別にして、「違法な残業」はたった1時間の残業であってもあり得ます。

 

 

2.いわゆる『サービス残業』のこと?

「違法な残業=サービス残業」という概念も世間に浸透してきましたが、
サービス残業というのは、時間外労働したのに、その時間に対する賃金が支払われていない状態、
つまり「ただ働きさせられた」というイメージかと思います。

もちろん、いわゆる「サービス残業(賃金未払い残業)」も「違法」ですが、今回の「ドン・キホーテ」や、同様に昨年7月に書類送検された「ABCマート」、同8月に大阪労働局に書類送検された「フジオフード」は、ともに「違法な長時間労働をさせた容疑」となっています。(フジオフードは賃金未払い残業もあったようです)

 

 

3.何が『違法』なの?

労働基準法では、1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはいけない、と定めています。
また、毎週少なくとも1回は休日を与えなければならない、と定めています。

よって、たとえ30分でも、1時間でも、上記の労働基準法で定められた労働時間(法定労働時間)を超えて働かせると、すでに「違法な残業をさせている」ということになってしまうのです。

「え~!!私、フツーに8時間超えて仕事していますけど、、、」

そうですよね。1日8時間、週40時間を超えてはいけないって、、、それではあまりにも現実的ではありませんので、一定の要件を満たした場合のみ、会社は労働者に時間外労働・休日労働を命じることができる、とされています。

  1. 労働者の過半数を代表する労働組合、もしくは労働者の過半数を代表する者と、書面により時間外・休日労働に関する協定を締結すること。
  2. 締結した協定を所轄の労働基準監督署長へ届け出ること。

の2つの要件です。労働基準法第36条で定められているので、「36(サブロク)協定」と言われています。この協定の締結と届出をしていないのに残業や休日労働をさせていると、「違法状態」なのです。

みなさんの会社では「36協定」を締結し、「労働基準監督署へ提出」していますか!?

 

 

4.「36協定」さえ提出していればいいの?

36協定では①1日、②1日を超え3か月以内の一定期間、③1年 の3種類の「延長できる時間」を定めなければなりません。

ただし、「36協定」さえ締結すれば、無条件に時間外労働をさせることができるのか、というと、そうではなくて、延長できる時間の「限度時間」というものが定められています。

例えば、1か月だと45時間以内、3か月だと120時間、1年だと360時間以内です。

 

この「限度時間」を超えるような「36協定」は締結できません。

また、「36協定」で定めた上限を超えて労働させると、「違法に残業させた」ということになります。

 

 

5.どうしても「限度時間」を超えてしまいそうなとき

だけど、受注が集中したり、システムのトラブルが起こってしまったり、決算とか、どうしても「限度時間」を超えて残業しなければならないときってありますよね。

そのようなことが想定される場合には、「特別条項付きの協定」を締結しておくと、限度時間を超えて残業を命じることができる、とされています。

ただし、「特別条項」ですので、以下のルールがあります。

  1. まずは原則としての延長時間(「限度時間」以内の時間)を定めること。
  2. 「特別条項」を適用する場合は、できるだけ具体的に「特別な事情」を限定して定めること。臨時、突発的な事情しか認められません。
  3. 「特別条項」を適用する回数を定めること。その回数は1年の半分を超えないこと。
  4. 「特別条項」で延長できる時間を具体的に定めること。そして、できるだけ短くするようにすること。

 

 

6.「ドン・キホーテ」の場合は?

もっとも多い従業員で「3か月415時間を超える」長時間労働をさせていたそうです。

通常の「限度時間(3か月120時間)」をはるかに超えています。

ただ、「特別条項」を締結していたのか、また締結していたなら何時間で定めていたのか、は新聞等の情報だけでは分かりません。

「特別条項」に限度時間はないのですが、1か月80時間を超える残業は「過労死ライン」と言われていて、労働基準監督署の指導対象となるようです。3か月415時間はこの過労死ラインも完全に超えていますね。

複数の店舗で違法な長時間労働があったこと、従来から指導されていたのに改善されていなかったことから、「書類送検」という重い司法処分になったようです。

 

「36協定」にはほかにもチェック項目がいくつかあります。

みなさんの会社でも「違法な残業」「違法な長時間労働」になっていないか、確認をしてみましょう。